《続き》
海南航空成長の陰にはあの投資家が
王岐山が海南航空の伸長の背後にあったのは事実だが、彼が有力政治家として頭角を現してきたのは北京市長となった2004年あたりで、元々国民党支持の家庭に生まれていたこともあり、彼のキャリアは途中までは傍流と言っても差し支えないものだった。
では、海南航空が拡大出来た鍵を握るのは誰なのか?意外にもここで、ジョージ・ソロスの名が登場する。「イングランド銀行を潰した男」として知られる投資家(投機家)だ。
海南航空の共同創業者の陳峰氏が創業間もない1995年の時点でソロスに会う為にNYまで行き、同社への資金拠出を説得している。1993年創業でたった1機のB737からスタートした同社の経緯を考えれば、異例の投資だろう。
ソロス氏は既に海南航空から手を引いているとの報道もあるが、ソロス氏はBrexit国民投票時にドイツ銀行株の空売り(Short-selling)を行う等、ドイツ銀行株に関心がある模様。ひょっとしたら、海南集団によるドイツ銀行株取得に関与していた可能性もある。
メルケル女史によるドイツ銀行救済(Bail-out)はあるのか?
ここからが本題。ドイツ政府はドイツ銀行を救済するのだろうか。少なくとも現時点ではないだろうと想定。同社は世界規模で業務の見直し・圧縮を進めており、その結果が見えてくる前に早々に救済措置を行うことは国民に対する説明責任を果たせなくなってしまうからだ。
それした業務見直しを行ってもなお結果が出なければ、国内2位のコメルツ銀行との合併の話も現実味を帯びてくるかもしれない。実はドイツ政府はコメルツ銀の株式の約15%を保有しており、一定の影響力を保持している。2008年のリーマンショック後に同行支援の為に株式を買い取り、現在まで保有し続けているが、フランスのBNPパリバ等が買取申出した際に話が纏まらなかった模様。その背景に、ドイツ銀行との合併の構想があったのかもしれない。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-27/P68OSN6JIJUV01
さすがに4期連続赤字は経営不安に拍車をかけるので懸命に事業再編に取り組んでいるとのことですし、18年度2Q決算は7月末頃に発表されるはずなので、まずはその2Q決算に注目したいと思います。業績如何によってはコメルツ銀との合併の機運が高まりそうです。
【参考】
海南集団の資本関係についてはFinancial timesの記事の中でUBS作成のチャートを紹介しているが、凄く複雑。