もう何だかんだで1か月も経ってしまいましたが、2018年10月に中国・北京で行われた日中首脳会談を振り返りたいと思います。今更ですが…。
安倍総理が中国・北京を訪問しましたが、公式な訪中は7年ぶり。前回は2011年末に野田総理が訪中していました。「あれ?野田さんって中国から尖閣国有化で相当非難されていなかったっけ?」と思いましたが、尖閣国有化の話が議題に上ったのは2012年に入ってから。ちなみに国有化のきっかけとなった石原都知事の例の講演は2012年4月です。
概要
外務省HPによると主な行事は以下の通り
- 日中平和友好条約締結40周年レセプション
- 栗戦書・全国人民代表大会常務委員長との会談
- 北京大学訪問
- 第三国市場協力フォーラム
- 李克強総理との日中首脳会談
- 習近平国家主席との日中首脳会談
2012年には国交正常化40周年レセプションが前述の尖閣国有化で流れてしまった経緯を考えると、日中平和条約40周年レセプション自体が開かれたことは日中関係が険悪な時代からかなり回復したことを物語っていると言えそうです。
また、習氏の側近である栗戦書氏(政治局常務委員の序列No.3)と個別に会っていたのは意外な感じがしますが、話題の中で日中与党交流協議会の話が出ていることを考えると二階氏から要請があり、顔を立てたのかもしれません。
習近平国家主席と会うのは昨年ベトナムで開かれたAPEC以来約1年ぶり…と思っていたら1か月前のロシアでの東方経済フォーラムで会っていたようです。会談では習主席の訪日を安倍首相が要請したそうですが、習氏が訪日すれば2009年の以来となります。2009年の訪日では副主席だった習氏。あのときは直前で天皇陛下との面会を小沢氏が無理やりねじ込んだことが話題になりました。
評価
今回の訪中だけ見ても評価を下すことは難しいので、日中関係が良好だった(と考えられる)2008年の福田総理訪中と比べてみたいと思います。北京オリンピック開催にあわせて福田総理が訪中した時には、毒ギョーザ問題やチベットの人権問題等の話題が出ましたが、今回はあまり領土問題も大きなテーマにならなかったようで全般的には経済協力がテーマになったと言えそうです。なお米中の貿易摩擦については「WTOをはじめとする多角的自由貿易体制を一貫して重視する日本の立場を説明すると同時に,補助金や知的財産権を含む問題について中国側が更なる改善を図っていくことが重要である」と安倍総理が発言したとのこと。
この後APECでも首脳宣言が出せなかったように米中の摩擦は第三国にも影響も与えています。11月末から12月にかけてアルゼンチンで行われるG20の中で、習近平国家主席とトランプ大統領との面談がどのような結果になるか注目されます。
そういえば、習氏との会談にも王氏は同席しなかったようです。夏以降は日本メディアも王氏の動向をあまり報じていないので、本当に失脚したのかよく分かりません。ただ、過去の会談を調べると同席者は外交部長やその時々の実務担当者であることが多いので、政治局常務委員クラスは同席しないのかもしれません。(王氏については下記記事参照)
あと、個人的に気になるのが、習主席の訪日日程。来年の6月末に大阪で行われるG20に習氏が参加するのは間違いないので、それに合わせて日程が組まれる可能性が高そうです。ということは、新天皇即位後の初の外国首脳との面会になる可能性があるかもしれません。
習氏が訪日することになれば、陛下との面会の中で天皇陛下の訪中要請が出てくる可能性があります。今上天皇も即位後の割と早い時点で訪中している(1992年)ので、タイミングとしては悪くないかと。安倍さんにとっては強力な対中外交「カード」の一つですが、元々の支持層の保守派から批判を招くことが容易に予想されるので、対中融和ムードを形成しないと難しいかもしれません。
改めて調べてみたら、2019年は4月~5月の天皇陛下の退位・即位や7月の参議院選挙、6月のG20サミット、10月の消費税導入、10月のラグビーワールドカップ、10/22の即位の礼等意外と重要イベントが多い年になりそうです。年末になったら2019年予測記事を作ってみたいと思います。
資料
日本外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page3_002593.html
中国外交部HP https://www.fmprc.gov.cn/web/zyxw/t1607459.shtml