【書評】超限戦 21世紀の「新しい戦争」

前から読みたいと思っていた本を図書館で借りて読んでみました。本当は購入したかったのですが、絶版になっており、Amazonでも古本が異常な高騰(¥46,800とのこと)となっているので、仕方なく地元の図書館で予約。

内容は?

要約するのも面倒なので、訳者あとがきから引用します(原文そのまま)

  1. グローバル化と技術の総合を特徴とする二一世紀の戦争は、すべての境界と限度を超えた戦争で、これを超限戦と呼ぶ。このような戦争ではあらゆるものが手段となり、あらゆる領域が戦場となりうる。すべての兵器と技術が組み合わされ、戦争と非戦争、軍事と非軍事、軍人と非軍人という境界がなくなる。
  2. 全く新しい戦争の形態―「非軍事の戦争行動」が出現した。それは例えば、貿易戦争、金融戦争、新テロ戦争、生態戦争である。新しいテロリズムは二一世紀の初頭において、人類社会の安全にとって主要な脅威となる。ビンラディン式のテロリズムの出現に示されたように、「いかなる国家の力であれ、それがどんなに強大でも、ルールのないゲームで優位を占めるのが難しい。」
  3. 一部の貧しい国や弱小国、および非国家的戦争の主体は自分自身より強大な敵(大国の軍隊)に立ち向かうときは、一つの例外もなく非均衡、非対称の戦法を採用している。それは都市ゲリラ戦、テロ戦、宗教戦、持久戦、インターネット戦などの戦争様式で…往々にして効果が大きい。
  4. テロリストが自らの行動を爆破、誘拐、暗殺、ハイジャックといった伝統的なやり方に限定するなら、最も恐ろしい事態にはならない。本当に人々を恐怖に陥れるのは、テロリストとスーパー兵器になりうる各種のハイテクとの出会いだ。

著者は?

喬良氏と王湘穂氏はいずれも人民解放軍の軍人。ネットで調べてみるとここ数年も新作を発表しているようです。2016年には本作を更に深化させた「超限战与反超限战」(超限戦と反超限戦)という著作を発表していますが、日本語訳はおろか英訳もまだらしいです。早く読みたいところです。

感想

中国で1999年に出版されたもので、約20年経っていますが、今読んでも先見性の高さに驚かされます。とは言え、戦争の領域が非軍事分野以外へと広がり、境界線が曖昧になってきているとの考えは、特段新しいものではないです。また中国指導部がこの著作に影響を受けているという書き方をしている方をネット上で見かけますが、順序が逆転しているでしょう。グローバル化の中で中国の取るべき戦略を共産党が合理的に判断していった集約の結果を「超限戦」という掴みやすい言葉でまとめたというのが正しい理解でしょう。

この本を読んでいる内に石原莞爾の「最終戦争論」を再読したくなってきました。喬良氏と王湘穂氏が石原莞爾の思想をどのように思っているか是非インタビューしてみたいところです。

人民解放軍の軍人たちがどのような考えで動いているか知る機会は、日本にいる限りほぼ無いので、(中国に行けばCCTV7チャンネル辺りで一日中人民解放軍をテーマにした番組を放送していますが)、貴重な本です。古本を買うのは現実的ではないので、是非図書館でご一読下さい。

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