【中国政治】王滬寧氏は失脚したのか!?

経済の話ばかり紹介してきたので、たまには政治の話を。最近の政治的話題で気になるのは、中国の政治家 王滬寧氏の動向。自民党総裁選や沖縄県知事選よりも注目度が高いと思います。

王滬寧氏とは?

中国の最高意思決定機関「中国共産党政治局常務委員」の内の一人で、序列は習近平、李克強、栗戦書、汪洋に次ぐ5位(政治局常務委員の存在の大きさについては、遠藤誉女史の著作を是非ご一読下さい)。

元々王氏は学者出身(名門の上海・復旦大学の国際政治学教授)で、共産党内で地方指導者経験(所謂ドサ回り)は無し。前の役職は共産党中央政策研究室主任。

彼は上海の復旦大学に居た際に当時の江沢民国家主席に見出され、共産党の中央政策研究室入りし、3代の指導者(江沢民、胡錦涛、習近平)に仕えてきました。胡錦涛氏の「科学的発展観」や習近平氏の「中国の夢」といったキーワードを起草、肉付けしていったと言われています。習氏の外遊にはほぼ必ず同行しているという事実からも、彼がスピーチライターとして習氏から如何に信頼されているかが伺えます。

習近平氏のスピーチ集については下記記事ご参照。

【書評】習近平 国政運営を語る

王滬寧氏に何があったのか?

権力の中核にあると考えられた彼の動向に集まるようになったのは、つい最近のこと。毎年7月から8月にかけて行われる共産党の非公式会議である「北載河会議」に王滬寧氏が参加していないと報じられたためです。(※1)

この会議は北京から離れた避暑地に現役指導部と有力な長老達を集めて、日常の些末な事務仕事から離れて国政運営や人事について活発な議論が交わされる場となっています。公式行事ではないものの、中国の政治の中では重要な会議であることは、会議の内容が殆ど公には出てこないことから(逆説的ではありますが)伺えます。

とある報道によれば、米中貿易摩擦の責任を取らされたのではないかとの指摘もあります。彼はイデオロギーや宣伝工作等を担当していますが、強硬な米国批判を煽って、貿易摩擦を拡大させたとのこと。果たして本当でしょうか?(※2)

私の予想

単に「動向が注目される」と曖昧な終わり方をしても、NHKのニュース番組の如くつまらないので、何が起こっているのかを予想してみました。

  • 王滬寧は失脚した訳ではない(…と思う)

政治局常務委員が任期中に失脚するということは極めて考えにくいです。例えば、四川閥の超大物 周永康が逮捕されたのも常務委員の任期が終了した後でした。

そもそも習氏の信頼以外に政治的バックグラウンドが無い王氏は、共産党内での派閥争いに対しては弱いはず。王氏の存在を快く思っていない勢力による情報操作の可能性が強いと思います。但し、自主的に謹慎している可能性等は捨てきれません。もしくは王氏中心にして専門家を集めて缶詰めにして新政策の議論を進めさせている可能性も。上記で書いてきたように彼の担当分野はイデオロギーや宣伝工作等で、中国のネット検閲も彼の担当分野。中国のネット動向は世界的に大きな影響を与えるので、彼が公式の場に戻ってきたら、ネット強国を目指す新スローガンが生まれてくる可能性もあります。あと考えられるのは、習氏の訪朝の為の下準備をしていた可能性でしょうか(王氏は金正恩氏訪中の際には空港や駅などで出迎え役を務めています)。

ということで、①自主謹慎している、②新政策を練っている、③習氏訪朝の準備をしている等の可能性を挙げたいと思います。まぁ、いずれにせよ、数か月すれば真相は分かるでしょう。

中国共産党において人事は、断片的な情報から政策決定過程を占う上で非常に重要な情報です。しかし、あまり些末な動向に一喜一憂していないで(2017年の政治局常務委員選定に際して日本の某大手新聞の人事の予測記事を妄信してしまった自らの反省に基づいています)、彼らが超長期戦略に向けてどんな歩みを進めていくか注目していった方がいいと思います。中国共産党の人事動向については、また機会があれば纏めてみたいと思います。

 

《リンク先》

※1 https://www.sankei.com/world/news/180804/wor1808040064-n1.html

※2 https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201808080635

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